今回は去年に引き続き、啓太さんがKorea Australsのそれぞれのラウンドを振り返ってくれました。
R1: That we should restrict access to international competitions if nations abuse their athletes
R1: That we should restrict access to international competitions if nations abuse their athletes
Aff: Underwood 3, Neg: ICU 1, Vote: ICU 1
このラウンドのジャッジは、TJという、僕が昨年のADIから何回かジャッジしてもらっていたタイのコーチだったので、しくることのできないラウンドでした。プレパはスムーズに進み、僕たちは以下の3つのポイントを守ることとなりました。
1. Unfair to punish athletes
2. Less opportunity of international recognition
3. Hinders the development of sports in the 3rd world
相手は強くなかったです。僕たちの想定していたプロブレムは、例えばアラブ諸国における女性アスリートが出場できないというものでした。けど相手はSQで身体的に虐待を受けているアスリートがいることが問題と言ってきたので、その瞬間いけると思いました。どの国も、たとえ独裁者であっても、国の威信を賭けた国際大会でアスリートが結果を残せなくするようなインセンティブはない、むしろしっかりケアしていると反論しました。相手は、国際大会での勝利が国の重要なソフトパワーであり、よって出場し続けられるようにabuseをやめる、というロジックの説明は時間をかけてしていたのですが、宗教や文化に根ざした習慣はなかなか止められないという分析をして、女性の権利がプロブレムだとしてもAFTであまり変わらないと反論をしました。ポイント1,2は未幸が立ててくれたので、voteはunanimousでクリアでした。
ただ、僕個人としては、このラウンドでAustrals Style特有の難しさに直面しました。僕は今大会でDeputyをやったのですが、AustralsではDeputyもしっかりポジティブマタ―を出すことが強く求められます。ラウンド後、TJは僕に、ポジティブマタ―に4分はかけろ、今回のお前は2分しかかけてなかった、と厳しく言われ、一人萎えていました。重要な議論はなるべく早くというのが鉄則なだけに、それをリーダーが言った後、新しい議論を思いつくのは簡単なことではありません。これ以降、ポジティブマタ―との格闘が始まりました。
R2: That a fixed amount of development aid should be allocated to microcredit schemes.
Aff: Monash 2, Neg: ICU 1, Vote: Monash 2
対戦表が発表されたときは、思わず苦笑いでした。どうしても勝ちたかっただけに、「Monash 2じゃなくてもいいんじゃない?」と思うと同時に、強いところと当たれなかった去年のことを思い出しながら、ディベーターとしての幸せを感じる自分もいました。Chair JudgeのところにSteve Hindという名前をみたときはさすがにビビりましたが(笑)
プレパはスムーズにいきませんでした。1つはMicrocreditについての知識不足でしたが、2つ目に、Negativeとして2つ真逆のスタンスをとれるため、どっちでいこうか頭を抱えました。結局、「Microcredit<大きな産業に投資することによるトップダウン式経済発展」というスタンスで臨みました。
ラウンド部屋に入ると、かなり美人な女性が相手ベンチに座っていて、僕はますますラウンドが楽しみになりました。どのようにポイントを分けたか記録が残っていないので、とりあえず押さえた要素は次の感じです。Microcreditで小さな事業を始めても失敗する場合が多い、資源を集中して大規模でやったほうが効率的、国際的に競争できる産業を育成したほうが利潤を得られる、労働者もスキルを得られる、MNCを巻き込まないと先進国からのaidが減る等々です。こうみると、言うべきことは言っていると思いますが、トップダウン式の具体的な内容が不明確だったこと、それを支える事例が少なかったこと、Affへの反論が弱かったこと等で負けました。モナッシュ艦隊の内訳は、①一般市民の生活がよくなる、②こっちのほうが持続可能、③市民社会の形成、④女性や少数民族にいい、というものでした。経済以外の視点が多かったことが印象的でした。もう1つ強く印象に残っているのが、美人GWの最初の反論です。「ICUはトップダウン式の成功例として、中国を挙げているけど、本当に成功だったの?中国の現状をみてみましょう」と切り出し、中国における貧富の格差を中心に、トップダウンがいかに弱者を見捨てるかを説き始めたのです。僕はその瞬間、軽く絶望しました。
R3: That the public should directly elect US Supreme Court Justices
Aff: ICU 1, Neg: UNSW 2, Vote: ICU 1
オーストラリアチームの2ということで、かなり警戒しましたが、レトリックだけのチームでした。プレパで大きな問題はなかったですが、あまりMatterが思いつかず、とりあえず出たものを守り切ろうとなりました。僕たちのケースを簡単にいうと、「米国の最高栽の判決はあまりに影響力がある、例えば違憲判決で民意に基づいた法を無効にできるため、最高栽の判断にも民意の反映が必要」というものでした。要素としては、違憲判決の影響力、SQで既に政権を担当している政党が裏で判事を選ぶなど政治化が進んでいること、選挙を開くことによる人々の意識改革などを適当にポイント分けしました。このラウンドでよかったのは、違憲判決の例を多く挙げられたことです。女性の中絶する権利を守ったロー対ウェイドや、最近の暴力的ビデオゲームを守った違憲判決を挙げました。
ただ、考えてみれば、上に挙げた違憲判決の例は相手に都合のいいものばかりでした。ロー対ウェイドもそうですし、他にもブラウン対教育委員会裁判など、選挙では過半数に負けるであろう社会的弱者の権利を最高裁は守ってきたと容易に言えます。ただ、UNSWはそのような議論を全くしませんでした。向こうは人々のrationalityにダウトをかけたり、最高栽の影響力にダウトをかけたりと、ちょっとしくっていました。救われた形です。
このラウンドのDeputyは苦労しました。プレパで思いついたマタ―量が少なかったのと、相手への反論もそこまでする所がなかったので、とりあえずメタディベートと、未幸のマタ―の見せ方を変えるのと、Exampleの説明量をちょこっと増やすくらいでした。
R4: That South Korea should return to the Sunshine Policy
Aff: ICU 1, Neg: HKU 1, Vote: HKU 1
友達が多い方ではない僕でも、国際大会に行けば友達の1人や2人できます。今回のオーストラルでは、それがHKUのA君だったので、初めてA君と知り合ったこのラウンドは思い出深いラウンドです。HKUはESL準優勝しただけあって、上手かったですし、ジャッジもVictoria Wellingtonの中間管理職的な人で、結構いいラウンドでした。
さて、太陽政策に戻そうモーションですが、金大中やノムヒョン時代の太陽政策の全貌を知らなかったのと、知っていた政策のインパクトが弱かったので、「どでかくやろう」ということになりました。僕たちのdefinitionは、SQの経済制裁を全てやめて、思いっきり貿易して、お金や人の動きも自由にするというものでした。予想していたものと少し違ったのか、LOが最初から叩いてきたので、DPMで「ちょっとラディカルになっただけじゃん」ってどや顔で言いました。ラウンドの後にジャッジに聞いたら、このdefinitionはちょっと違うけど、問題はないよと言われました。ただ、南北統一の話をあまりせずに、constructive engagement vs. sanctionの普通のIRディベートにしてしまったことは反省しています。
こっちとしては、「経済制裁は韓国の安全を脅かし、北朝鮮の市民を殺している」というケースを立てました。韓国の安全保障のところでは、SQで金政権が自国民に対してその正当性を軍事面でしか表現できず、AFTだと経済発展を通して政権を安定化できる+韓国との経済関係に依存することで、昨年の延坪島への砲撃みたいな事件は起きなくなると言いました。北朝鮮の市民を殺している議論は、普通の経済制裁の議論です。相手は、制裁という重要な外交ツールを失う、韓国のイメージが悪くなる、あともう1つ何かポイントを出してきました。1つ目以外は、相手のポジティブマタ―は強くなかったのですが、反論は上手かったです。主に向こうは金政権がそこまでrationalに考えない、貿易による利益は市民にtrickle downしない+金政権を強くするだけ、あとは過去の太陽政策の失敗を事例付きで言ってきました。正直勝ったとは思ったのですが、北朝鮮の市民にtrickle downする証明が不十分なのと、相手からの反論へのレスポンス不足で負けました。
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